24人目は「見跡」を制作した邵雪晴〈ショウ・セツセイ〉さんです。
Q 自己紹介をお願いします。
初めまして、中国からの留学生邵雪晴(ショウ・セツセイ)と申します。
2013年北京電影学院アニメーション学部から卒業し、その後日本に来て、2014年に東京藝術大学大学院映像科アニメーション専攻へ入学しました。2016年3月に修了します。
普段は短編アニメーション、ミュジックビデオ、イラスト制作などで活動しています。
よろしくお願いします。
Q 作品を作ったきっかけは何ですか?
昔から宇宙、量子物理など、特にブラックホールに関するものを見るのが趣味です。
そこまで物理の知識がない自分は何故ブラックホールに魅了されるのだろうと考えました。そして、自分が興味を持つ分野、自分が知りたいことの後ろに、一つ共通する気持ちを感じたような気がしました。
私は自分と世界の存在に関する未知に不安を抱いています。そして怖がりながらも本能的に「知りたい」「探ろう」としています。
それはたくさんの人が共通している気持ちではないかと思いました。
ので、私は「知りたい」気持ちをテーマにし、制作をはじめました。
Q 手法と制作プロセスを教えてください。
最初から星空をビジュアルに取り入れたいと考え、たくさんの画材を試したが、納得できるビジュアルに辿り着けませんでした。
そして、蓄光の砂を使って星空を表現してみよう!と考え、素材を購入しました。
結局、蓄光素材の魅力が強く、手にする時に遠い存在なはずの宇宙と星と遊んでいる様な不思議な気持ちになり、絵を描くことをやめて、全部蓄光素材で作品を制作してみることにしました。
主に使用した素材と手法は
蓄光砂:背景(大量使用)、キャラクター(一粒+型取りフィルターを置き換えてコマ撮り=光が動いているような印象)、人間の手に塗り撮影。
ブラックライト:蓄光材にあてる(光を貯めさせ、その後電源をオフにして撮影)、照明として使う(羽などに当てながら撮影。素材の色味が変化する)。
曲がれるミラー:背景(鏡を大きく多方向で曲げながら、鏡に映る景色を撮影。偶然性がある空間を作りたい)
水晶玉(アクリル制):重力レンズみたいなビジュアルを表現したかったが、違うものになった気がする。
羽:そのまま・・・。
になります。
他はたくさんの素材と手法を実験しましたが、使わなかったものが多かったです。
最初はストーリーボードを作りましたが、素材は強い力をもっているのでなかなか話を聞いてくれません。思い通りに作れなかったのです。逆に遊びで撮った画像の方が魅力的でした。
昔はほとんどコンセプト、ストーリーなどを決めてから細かい作業に入る手順で制作し、一度も考えながら制作する経験がなかったです。今回は素材に身を任せてみよう!と考え、ストーリーボードを全部廃棄し、「知りたい」コンセプトだけを頭の隅に置き、素材の美しさを発揮できそうなビジュアルを作り出すところから作品を構築してみました。
Q 影響を受けた作品などはありますか?
全体的に私の好みを影響したのは中学の時に見た演劇「コペンハーゲン」です。
今回の制作ですと、作りながらよく思い出すのはウィリアムブレイク「無垢の予兆」最初の段落、カントの墓碑銘、あとガヤトリーマントラです。制作中はDeva Premalという歌手が歌ったガヤトリーマントラをひたすら聞いていました。
Q 制作の合間にしていた気分転換は何ですか?
料理、整体、買い物、カラオケ
Q 在学中にやり残したことはありますか?
ありません。胸を張って全力を尽くしたと言える二年間でした。
ちょっと悔しかったことを言うと、去年作った作品はリズムが早すぎたと言われ、卒業制作で気をつけよう!と思ったのに、完成後時間を置いてから見てみるとまた早かったです。次の作品でさらに気をつけよう・・・。
Q アニメーション以外で、今後挑戦してみたいことはありますか?
先進技術を使ったインタラクティブなものを作りたいです。
Q 今あなたが一番“YELL(叫び)”したいことは何ですか?
素粒子になりたい・・・
邵雪晴さんの作品「見跡」は、「第七期生修了作品 Aプログラム」にて上映いたします。「第七期生修了作品 Aプログラム」は、3月5日から3日間、横浜の馬車道校舎で上映となっています。また、3月12日から一週間、渋谷のユーロスペースでも上映予定です。お楽しみに!
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